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甘えた
第16章 16
夕方、家まで莉壱が迎えに来た。
「今、お父さんは?」
少し緊張している様子で表情が硬い。あたしもおととい逃げ帰ってしまったことが恥ずかしくなってぎこちない。
「まだ仕事から帰ってきてないけど…」
「そう。これ…この間世話になったから」
菓子折りの入った紙袋を手渡された。
「お礼伝えておいて」
「わざわざよかったのに…けど父さん喜ぶと思う。ありがとう」
外に待たせてあった車に二人して乗り込むと、いつものように横たわり、あたしの腰に腕を廻しておなかに顔を押しつけた。
「なんで制服着てるの?」
「莉壱に見てもらいたかったから」
「俺も制服で来ればよかった。そしたら同じネクタイで揃えられたのに」
莉壱はもうあの学校の制服を着ることはない。夏休みが明けたら、貰ったネクタイを締めて同じ学校の気分を味わうつもりだったのに、それも出来なくなってしまった。
さらさらの黒髪に手を差し込んで、そんなことを考えながら何度も撫でる。
「今、お父さんは?」
少し緊張している様子で表情が硬い。あたしもおととい逃げ帰ってしまったことが恥ずかしくなってぎこちない。
「まだ仕事から帰ってきてないけど…」
「そう。これ…この間世話になったから」
菓子折りの入った紙袋を手渡された。
「お礼伝えておいて」
「わざわざよかったのに…けど父さん喜ぶと思う。ありがとう」
外に待たせてあった車に二人して乗り込むと、いつものように横たわり、あたしの腰に腕を廻しておなかに顔を押しつけた。
「なんで制服着てるの?」
「莉壱に見てもらいたかったから」
「俺も制服で来ればよかった。そしたら同じネクタイで揃えられたのに」
莉壱はもうあの学校の制服を着ることはない。夏休みが明けたら、貰ったネクタイを締めて同じ学校の気分を味わうつもりだったのに、それも出来なくなってしまった。
さらさらの黒髪に手を差し込んで、そんなことを考えながら何度も撫でる。