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甘えた
第16章 16
ベッドから起き上がると莉壱に近づきながら、

「怪我の具合はどうだ?」

バキッと音を立て小さなテーブルに腰掛け莉壱と向かい合う。

「回復してんじゃね?」

「すまない。痛かっただろうに…」

莉壱よりも先に長谷川くんに謝られてしまった。

うわーうわー、やっぱり長谷川くんの方がうわてだっ。男前すぎる!

「ふっ。自業自得ってやつ…俺が全部悪かったよ。都羽に『痛みを覚えろ』って言われた。殴られて、銀河や結愛花さんが受けた痛みが少し分かった気がする」

姿勢を正して、膝の上で拳を握りしめて頭を下げる。

「ごめんなさい…」

「莉壱は長谷川くんのこと大好きなんだよね、かまってほしかったんだよね」

お節介な助け舟を出す。

「………寂し…かったから…」

頭を下げたまま、言葉を絞り出した。

「かまってやらなくて悪かった、でもお前は男だろ?俺の弟だろ?」

長谷川くんは項垂れる莉壱の前にひざまずき、


「愛してるよ」


一回り大きな体で莉壱を抱きしめた。


「……うっ、…っく」

堪えきれない嗚咽が漏れ聞こえた。
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