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甘えた
第16章 16
「莉壱」

「ん?」

「今から嘘をつくね」

「嘘?都羽の嘘は見破る自信あるよ」

「ふふ。そうだね」

俯いて、握った拳でおでこを掻く。

その拳を伸ばして莉壱の手を握った。

「行っちゃ嫌だ……莉壱と離れたくない…莉壱のそばに居たい」

すでに決まったことに対して困らせるようなことは言いたくない。けど、今ここでほんとの気持ちを言っておかないと後悔しそう…だからこの言葉は嘘ってことにする…

「あは、嘘だから…」

「都羽の嘘つき」

うまく笑えないあたしに優しく微笑みかけて深く抱きしめてくれた。莉壱の柔らかな温もりが愛おしい…ずっとこのままで居られたらいいのに。

「寂しくなったら『みやこ』にもどる?」

みやこ…その名前にドキッとする。

あたしがワンナイトラブの時に使っていたもうひとつの名前。
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