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甘えた
第17章 17
レザーのトートバッグを肩に担いだ莉壱に、あたしから声をかける間もなく一瞬で見つけられた。

「都羽!」

あたしの名前を呼んだ莉壱は大股に歩いて近づいて来る。

うわぁ、莉壱だ!真っ直ぐ見つめてくる莉壱に釘付けにされ、あたしの頬は緩みだす。

幼さを強調するようにふっくらしていた頬の肉が削げ落ち、鋭い目つきは健在のまま精悍な顔つきに成長した莉壱。

第一声は親戚のおばさんの決まり文句。

「莉壱!大きくなったね。わっぷ…」

あたしの背を追い抜き、少し逞しくなった莉壱に強く強く抱きしめられる。

懐かしい匂いと温もりに涙が出そう。ぎゅうっと抱きしめ返す。


「はぁ…都羽、良かった…」

「うん。あのメール内容じゃ、ほんとに帰ってくるのかわかんなかったけど来てみて良かった。ほんとに会えた。嬉しいよぉ」

頬を滑らせるようにして離れる間際に莉壱の唇がちゅっと触れる。一瞬だけの甘い痺れ。

「ね、おなか空かない?寝てたら機内食、食べ損ねた」

あたしの腰に手を添え歩き出す。今までは手を繋いでいたのに…わぁ、なんか大人になってる。
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