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甘えた
第17章 17
「あははははっ。やられた!都羽にやられたよ。まさか、お父さんの名前まで変えてるなんて」

「ふふふっ。別に莉壱にスマホのデータを見られてもいいように名前をニックネームに変えてるわけじゃないよ?」

会話をしながら莉壱の後頭部の髪を逆撫でする。ひな鳥の産毛ように立ち上がる髪が可愛くて何度も逆さに撫でる。

「そうだけどさ、親とこんな頻繁に連絡取るもんだとは考えもしなかったから」

「うちはするよ?ほんの一言だけど『これから帰る』とか。メールじゃ許してくれなくて直接声を聞かせろって。もしかして莉壱…ずーっとモヤモヤしてた?誰だろう?どこの男だろう?って」

ちょっとニヤケ顔になりながら聞いてみる。

「ああ、そーだよ。モヤモヤしてた。ずーっと気にしてた。はぁー、お父さんだったのか……ところでさっきから俺の頭で何してるの?」

後頭部の髪を逆立てる動作が止まらない。

「ねぇ、パーマかけたの?」

「うん、勧められてね」

さらさらのストレートヘアーだったのに、ショートの無造作ヘアーみたいにしちゃってさ。元々オシャレだったけど、どんどんオシャレになっちゃって…

「あたし、いじけちゃう」

「俺がここに居るのに、いじける要素なんてある?」

本当はいじけてるわけじゃない。甘えたくってしょうがないだけ。
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