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甘えた
第4章 04
「その制服ってどこの学校?」

高スピードに恐怖を感じ、制服の紋章に視線を移して聞いたものの、学校名は聞いたことがあるってくらいの知識しかなかった。

「あぁ、へぇー、そうなんだー」

知ってるふりをして口を噤んだ。

ごそごそとスマホを取り出し、ドアと体の隙間で隠しながら学校名を検索をしてみた。

私立の名門校だって、うっは偏差値高っ。

「なーに、やってんの?」

「あっ」

スマホをひょいと取りあげらてしまった。

「ぶっ。あははははーひぃーーあはははっ」

腹抱えて笑っちゃってますよ。

「うちのがっこも知らないんだ?あははははっ、さすが田舎のバカ学校。あそこはバカばっかり揃ってるね」

「バカで悪かったね」

恥ずかしさとバカにされた悔しさでいじける…

「はい。登録しといたから」 

返されたスマホの連絡先に電話番号が登録されていた。

長谷川 莉壱

あたしのアドレス帳には本名を載せていない。みんなニックネームにしてある、スマホを落とした時の予防線。

例えば結愛花なら『泣き虫いもむし』いもむしみたいな泣き顔だから。

父さんは『ストッパー』暴走族の頃、集団で走る先頭で真っ先に交差点に突っ込み一般車両を足止めする係だったから。

「へー、莉壱っていうんだ。良い名前だね」

今初めて名前を知ったふりをしながら、長谷川莉壱を消して『クソガキ』と書き換えた。

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