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甘えた
第5章 05
グラウンドを見回し、長谷川くんの側近メンバーたちを見つけたあたしはお弁当を放りだして駆け出した。

側近メンバーたちに近づくと横たわる光政の姿も、案の定そこにあった。

「光政、光政。ちょっとおいで」

あたしのそばへ来るように呼びつけた。

鼻にティッシュを詰めた光政が体を起こし、首を冷やしながらヨタヨタと近寄る。

「なんすか?」

「うちのクラスで大人気になってるんだけど?」

あたしはニヤニヤしながらクラスメイトが集まっている方に向かって歩みを促す。

「へ?」

「いやぁ~、みんながね…かっこ良いって言ってるんだけど?」

言ってたのは2,3人だけど、みんなが言ってるって話を盛る。

「へっ?へっ?」

「モテモテですねぇ~」

「へっ?」

たぶん顔がりんごの様に真っ赤なんだろうけど、殴られて、どす赤くなった顔では見分けがつかなかった。

クラスメイトの輪の中に光政を放り込むと、さっきまで莉壱の話題で興奮していた子たちまでキャーキャー騒ぎ…

かわい~い、かっこよかったよー、傷に触っていい?、彼女いるの?番号交換しよ?と迫り揉みくちゃにしていた。

「へっ?」「ちょっ…!」「ひゃっ!」 

その単語を繰り返す光政を眺め、青春だなーって顔を緩ませながらお弁当を完食した。
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