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甘えた
第5章 05
フリフリの露出の激しい衣装に身を包みリズミカルにダンスを踊る女子たちの奥で観覧席に座っている結愛花の姿を視界に収めながら運動部の部室の外壁に凭れていた。

校庭内にぐるっと視線を這わすとあちらこちらに長谷川くんの仲間がいる。

あたしが長谷川くん家に通っていた時の部屋の子がいたり、学校指定のジャージを着てるが卒業生だったり、かなり厳重警戒されていた。

これだけ守られているなら大丈夫だろな。

結愛花の楽しそうに笑う姿にあたしも顔が綻ぶ。




「髪切ったんだね」 


確認するまでもなく声で分かった、いつの間にか莉壱が隣に並び立つ。

あたしは結愛花に視線を向けたまま…。

「まぁね」

「色っぽくなった…」

襟足に沿う様に這いつくばる短い後ろ毛を莉壱の指が梳く…背中に甘い痺れが走った。

ここは学校、校庭、体育祭中ーー何も感じないフリをして結愛花を見続けた。

「なんで電話してこないの?」

「電話?用事ないし」

「ひどいなー、折り返しかけるってこと知らないの?」

「莉壱から電話なんか、かかってきてないし」

「何度か、かけたよ?」

学校指定のジャージのポケットからスマホを取り出し履歴を確認する。

『クソガキ』からの着信はない。
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