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甘えた
第5章 05
「かかってきてないよ」

「どれ?」

横から伸びてきた手にスマホを奪い取られる。

「あるじゃん」

「どこ?」

スマホの画面を覗き込むと、『セフレ』って表示されてた。

「アンタだったのっ!」

莉壱の顔を睨みつける。

莉壱はスマホの画面を見続けていた。

「チッ、もう1発殴ってこよっかな…」

一人でブツブツ呟きながら画面の上に指を滑らせる。

「あーっ!なんで着拒してるの?!」

「当たり前でしょ、そんな如何わしい名前。勝手に書き変えないでよ。いつそんなことしたのよ…もう返してよ」

取り返して『セフレ』を『クソガキ』に書き直す。

「着拒解除しとけよ?」

「はいはい」

解除してからポケットにしまい、また結愛花に視線を戻す。 

「まったく、もう!あたしにセフレなんて必要ありませんー」

「ふーん」

「……騎馬戦終わったんだから帰れば?」

「ねぇ、君もアイツが好きなの?」

「アイツって?」

莉壱の方に顔を向ける。

あれ?少し背が高くなってる?

莉壱の足元を見ると乱雑に転がっているサッカーのシューズを踏みつぶしていた。

身長差を気にしてるのか…?くすっ。
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