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甘えた
第6章 06
まだ莉壱に顔を向けることが出来ない、莉壱もあたしを見ようとしない。

ぐずぐずと泣くあたしをバカにするかと思っていたけど、一言もふれて来ない。
それが莉壱の優しさなんだろうな……

思わず嬉しくなって頬が緩んだ。


莉壱を横目でチラッと見ると、本を読み続けていた。
DVDジャケットに視線を戻す。


くすっ、やっぱり前言撤回…両面見ても英語ばっかりで日本語訳が無い物だった。
ちっとも優しくない。


莉壱がパタンと音を立て、本を閉じた。


「都羽、おかな空いた。外に食べに行こ?」

「…うん」


昼時からだいぶ遅れた時間にエレベーターを降りてビルの正面口に出た。

一見、グレーのビルばかりが立ち並ぶ大きな通りだが、よく見ると色とりどりの看板が目に付く。1,2階が飲食店だったり、飲食店だけが入ったビルもある。

「何がいい?ちょっと歩けば何でもあるよ」

考えながらぐるっと見渡すと、道路の斜め向かい側のスーパーに目が止まった。
名前だけは知っている高級スーパー。

「あそこのスーパーに行きたい」
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