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甘えた
第6章 06
「作るから、どうぞあちらでお待ちください」

莉壱をリビングに追いやって支度に取り掛かる。

チキンライスが出来あがる頃、バターとケチャップの匂いに誘われたのか、莉壱がキッチンに様子を見に来た。

「ちょうど良かった、お皿どこ?」

用意してもらったお皿にチキンライスを軽くこんもりとよそう。

「莉壱、見てて」

バターを入れたフライパンに卵液を流し込み、箸でクルクルと掻き回す。

「洋食屋さんのシェフは、こうやってトントン叩いてきれいに形を整えるんだけど、あたしはこうやって…」

フライパンを傾け、オムレツの下から掬い上げるように箸を添え、半熟の卵が重みで滑ってくるのを利用して巻いていく。

出来あがったオムレツをチキンライスの上に乗せ、包丁で切れ目を入れて黄色く艶やかな半熟の中身をとろーっと広げた。

「おぉ」

大きく目を見開いて驚いている。ふふふっ、どうだっ。

「はい、出来あがり。先に食べてて」

「俺もやってみたい」

「じゃあ、火を点けてバター溶かしといて」
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