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甘えた
第6章 06
やけっぱちなあたしは高級車に向かって歩き出した。

助手席からぴーちゃんが降りてきて後部座席のドアを開けてくれた。

「ありがとう…ございます」

お礼を言って乗り込む。

はぁー視線が痛かったぁー。
脇汗、すごいですよ?

「どしたの?」

緊張のせいで石のように固まっているあたしに莉壱がマヌケな顔…いえ、飄々とした顔で問いかけた。

「精神統一するんで、しばしお待ちください」

「ぶっ。なにそれ?」

「みんながこの車のこと見てたから、乗り辛かった」

「あー。……それが?」

それが困るんだよ。

こんな目立つところに停めると長谷川くんたちに迷惑が掛かるからって言いたいんだけど、言えない。

あたしと長谷川くんが繋がってるのはバレてるけど、結愛花絡みだってことは知られたくない。
墓穴掘りそうだから、あまり自分から長谷川くんの名前は出したくなかった。
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