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intimidation love
第1章 恋は盲目
そろそろ昼休みが終わる時間だろう。
だが、現在私が居る場所は人気の無い校舎裏だ。
勿論、用も無いのにこんな場所に居るわけではない。

「君があの手紙をくれた子?」

低いわけでもなく、かといって特別高いわけでもないのに不思議と特徴的なその甘ったるい声は周囲の女子達を一瞬にして虜にしてしまう。

女子達を虜にしているのは、声だけではない。
くっきりとした二重に縁取られた目元と綺麗に通った鼻筋、厚くもなく薄くもないちょうど良い厚さの唇が、絶妙なバランスで男の顔の中に収まっている。

緩くウェーブの掛かったミディアムヘアはきっと毎朝セットしているのものだろうけれど、妙に自然で違和感一つない。
身長も、モデル級の長身の女性と並んだとしても引けを取らないだろう。

「ねえ、聞いてる?」

改めて男の容貌に見とれていた私は、その声が先程より近付いた事に気付いて我に返った。

「…はい。先輩を呼び出したのは私です」

「君、一年生?」

「…いえ、二年です」

自分の存在が彼に知られていない事など、わかりきっていた事だった。
それでも、落胆してしまっている自分を心の中で叱咤する。

先輩は天使のような微笑みを浮かべながら、制服のポケットから淡いピンク色の封筒を取り出した。
私が先輩宛に書いた手紙だ。

「今時下駄箱に手紙なんて古風だなあって思ってたら、中身見てびっくり」

「………」

「てっきり告白だと思ってたんだけど」
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