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intimidation love
第3章 吉野と一葉

思わずハル君の名前を出してしまった事に、慌てて口をつぐんだがもう既に遅いだろう。
自分の馬鹿さ加減には、ほとほと呆れるばかりだ。
「…それ、ヨシノちゃんの好きな奴?」
先輩に掴まれた手首が、少し痛い。
違うと言っても、きっと先輩は信じてくれないだろう。
どうしていいのかわからなくなっていた私は、先輩が放してくれるのをじっと待つ事しか出来なかった。
「本当、酷いなあヨシノちゃんは」
ふと手の力が緩んだ事に気付き、恐る恐る先輩の顔を見上げた。
やっぱり、先輩の笑顔が歪んで見えたのは涙のせいだけではなかった。
その事が恐ろしいと感じていたにもかかわらず、酷く可哀想なもののようにも見えてしまったのは単に私の頭が混乱していたからだと思う。
「別にいいじゃん、他に好きな奴がいても」
「…え?」
「ここで俺と昼飯食べるくらいどうって事ないでしょ?変な事してるわけでもないんだし」
私の意思なんて確認する事なく、先輩は言う。
「困ります、私…」
「まさか、気が引けるとか思ってるの?そんなの今更じゃない?それに、言わなきゃ俺の事なんてばれないよ」
暇潰し相手なら、私である必要はないのに。
どうして先輩は、わかったと言ってくれないのだろう。
「だから、俺が飽きるまで付き合ってよ。勿論、何もしないから」
「…でも」
「じゃないと本当に、ヨシノちゃんの嫌がる事しちゃうかもよ俺」
…断り切れない。
このままでは、先輩に押し切られてしまう。
一体、どうしたら。
「ね?だからさ、今まで通りー…」
いつもの調子で話す先輩の声が、不意に途切れる。
真後ろから聞こえて来た扉の開く音に、しゃがんでいた私と先輩はおもむろに顔を上げた。
自分の馬鹿さ加減には、ほとほと呆れるばかりだ。
「…それ、ヨシノちゃんの好きな奴?」
先輩に掴まれた手首が、少し痛い。
違うと言っても、きっと先輩は信じてくれないだろう。
どうしていいのかわからなくなっていた私は、先輩が放してくれるのをじっと待つ事しか出来なかった。
「本当、酷いなあヨシノちゃんは」
ふと手の力が緩んだ事に気付き、恐る恐る先輩の顔を見上げた。
やっぱり、先輩の笑顔が歪んで見えたのは涙のせいだけではなかった。
その事が恐ろしいと感じていたにもかかわらず、酷く可哀想なもののようにも見えてしまったのは単に私の頭が混乱していたからだと思う。
「別にいいじゃん、他に好きな奴がいても」
「…え?」
「ここで俺と昼飯食べるくらいどうって事ないでしょ?変な事してるわけでもないんだし」
私の意思なんて確認する事なく、先輩は言う。
「困ります、私…」
「まさか、気が引けるとか思ってるの?そんなの今更じゃない?それに、言わなきゃ俺の事なんてばれないよ」
暇潰し相手なら、私である必要はないのに。
どうして先輩は、わかったと言ってくれないのだろう。
「だから、俺が飽きるまで付き合ってよ。勿論、何もしないから」
「…でも」
「じゃないと本当に、ヨシノちゃんの嫌がる事しちゃうかもよ俺」
…断り切れない。
このままでは、先輩に押し切られてしまう。
一体、どうしたら。
「ね?だからさ、今まで通りー…」
いつもの調子で話す先輩の声が、不意に途切れる。
真後ろから聞こえて来た扉の開く音に、しゃがんでいた私と先輩はおもむろに顔を上げた。

