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intimidation love
第3章 吉野と一葉

あらかじめハル君には、前日に話していた。
先輩とは、最近ずっと過ごしていた屋上で話をするつもりだと伝えた。
先輩にはもう会わない、諦めると言った時、ハル君は安心したように微笑んだ。
きっぱりと切るつもりなら、丸め込まれるような事には絶対になるなとハル君に忠告された。
大丈夫と言いながら内心では不安がっていた私を、ハル君は見透かしていたに違いない。
だからきっと、心配してわざわざここまで来てくれた。
私もハル君には随分と依存しているけれど、この人も相当な心配症だと思う。
さすがに先輩が居る前でハル君に抱き付く事は出来ず、私は控え目に白衣の袖を掴んだ。
そっと私の目元に触れるハル君に、優しく肩を抱き寄せられる。
きっと、私が泣いた事にすぐに気付いたのだろう。
「ヨシノ、ここにはもう来るな。いいな?」
「…うん。でも、ちょっと待って…ハル君」
ハル君が来てくれた事は素直に嬉しい。
でも、自分一人ではどうにも出来ず結局ハル君の手を借りてしまった事が何より情けなかった。
こんな終わり方になってしまった事への罪悪感から、せめて先輩にはもう一度謝っておくべきだと思った私は後ろへと振り返ろうとした。
けれどそれよりも先に、何か硬質な物が壁に思い切りぶつかる音が聞こえた。
私は自然と、その音がした方向へと目を向けた。
少し離れた場所で転がる缶コーヒーは、さっき私が先輩に渡した物だ。
先輩は何も言わない。
ただ、突き刺すような視線を痛い程に感じていた私は、ゆっくりと転がり続ける缶コーヒーから目を逸らせないでいた。
…怖くて、先輩の顔が見れなかった。
先輩とは、最近ずっと過ごしていた屋上で話をするつもりだと伝えた。
先輩にはもう会わない、諦めると言った時、ハル君は安心したように微笑んだ。
きっぱりと切るつもりなら、丸め込まれるような事には絶対になるなとハル君に忠告された。
大丈夫と言いながら内心では不安がっていた私を、ハル君は見透かしていたに違いない。
だからきっと、心配してわざわざここまで来てくれた。
私もハル君には随分と依存しているけれど、この人も相当な心配症だと思う。
さすがに先輩が居る前でハル君に抱き付く事は出来ず、私は控え目に白衣の袖を掴んだ。
そっと私の目元に触れるハル君に、優しく肩を抱き寄せられる。
きっと、私が泣いた事にすぐに気付いたのだろう。
「ヨシノ、ここにはもう来るな。いいな?」
「…うん。でも、ちょっと待って…ハル君」
ハル君が来てくれた事は素直に嬉しい。
でも、自分一人ではどうにも出来ず結局ハル君の手を借りてしまった事が何より情けなかった。
こんな終わり方になってしまった事への罪悪感から、せめて先輩にはもう一度謝っておくべきだと思った私は後ろへと振り返ろうとした。
けれどそれよりも先に、何か硬質な物が壁に思い切りぶつかる音が聞こえた。
私は自然と、その音がした方向へと目を向けた。
少し離れた場所で転がる缶コーヒーは、さっき私が先輩に渡した物だ。
先輩は何も言わない。
ただ、突き刺すような視線を痛い程に感じていた私は、ゆっくりと転がり続ける缶コーヒーから目を逸らせないでいた。
…怖くて、先輩の顔が見れなかった。

