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intimidation love
第4章 膠着
腹部から胸へと迸る生温い液体に茫然自失になりながらも、膣内に出されなかった事に対して私は密かに安堵した。
本来であれば、せめて避妊具は着けて欲しいと言うべきだった。
今更気にしたところで、もう遅いのだけれど。

「あー、やっぱゴム無いと危ないね。次はちゃんと着けるから」

先輩はすっきりとした顔でさっさと自分の処理を済ませた後、いまだ茫然としていた私の額に軽く口付けながらティッシュを手に握らせた。

「じゃあ、六時過ぎちゃってるし帰るね。ほら、ちゃんと俺の精子拭いてから服着るんだよ?」

疾風の如き速さで部屋を出て行く先輩に声すら掛けれず、その後ろ姿を私はただ唖然と見送った。
さっきまで火照っていた体が嘘のように、さあっと熱が引いて行く。

…何をしているのだろう、私は。
先輩に手渡されたティッシュで、腹や胸に掛かった白濁液を拭き取りながら思う。
たった一人残された部屋で好きな人の精液を拭っている自分に、惨めさを感じないわけがない。
余韻にすら浸せてくれなかった先輩には、怒りすらも湧いて来なかった。

次は、なんて。
先輩は気まぐれで言ったのかもしれないけれど、そんなもの私は要らないのに。
だけど先輩に逆らえない私は、その気まぐれも断れない。
こんな惨めな思いを、またしなければならないのだろうか。

下半身に微かな鈍痛を感じるものの、決して歩けないわけではない。
ハル君には、どうしてもばれたくない。
黙って先輩を家に上げてしまった事も、さっき部屋でしていた事も。
何事もなかったかのように、いつも通りに振る舞わなければ。
もうすぐハル君が帰って来るのに、泣いている場合じゃない。
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