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地下室の被験者
第1章 夏の始まり
エレベータを降りるとナースステーションに挨拶をして、妹のいる病室の705号室へ向かった。人当たりのいい明るい性格の美緒は看護師の間でも評判である。
部屋に入ると窓側のベッドに自分にそっくりな容姿の女の子が目に入る。それが美緒の妹真緒である。真緒は肩まである黒髪ロングヘアーであるが、対照的に真緒はショートヘアーである。それ以外は誰が見ても姉妹であることは言うまでもなく理解してくれる。
真緒は難病を抱えているが、いつも元気である。美緒を見つけるなりベットから飛び起き美緒に抱き着いている。長い入院生活で家族ともなかなか会えない真緒にとってこの時間はとても貴重な時間なのである。
「今日学校どうだった?」「部活の大会の練習進んでる?」等真緒からは学校生活について質問攻めにあう美緒もどこか楽しそうであった。
「そういえばさっきお母さん来てたよ」と真緒は言った。そういえば今日真緒の担当の先生に呼ばれたということで、一足先に病院に行くと言っていた。
「ちょっと先生にも挨拶してくるから真緒は待ってて」と言い部屋を後にした。このとき美緒は妹の容体が良くないことを先生から言われてるのか、治る技術が発達したのか期待と不安で満ち溢れていた。そんな姿を真緒に見られたくはなかったが勘のいい真緒にはお見通しであったに違いない。廊下ですれ違った看護婦さんに先生の居場所を聞き、同じ階にある「診察室3」という部屋に行った。
ノックをして部屋に入ると母親と先生は真剣な顔で話し合いをしていた。
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