この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
コーストライン
第3章 さざ波




電話口の人の名前を指していただろう。


……き、


電話口のその人が息を飲み込む音が叶和の耳に触れる。

女の人、電話口のその人は女性だ。


ただいま……


その女性との関係性。
その女性の元に帰る。

電話口から聞こえたカレの言葉が頭の中でリピートを繰り返す。

背中に当たる壁。
叶和は電話口を戻すこともなく、壁伝いにその場にしゃがみこんで膝を抱えていた。



「ただい。。。叶和さん?」



どれくらいの間膝を抱え座り込んでいたのだろう。

叶和の感覚では短いようにも、長いようにも曖昧だ。

膝に擡げていた頭を起こし、圭吾を見上げる。

圭吾は台からぶら下がっている電話口を本体に無言で戻していた。



「いつからソコにいたの」



いつから?電話口での衝撃に感覚が麻痺をして、わからない。

叶和は力なく無言で頭を左右に降る。

台の上に置かれたマグカップは温度をなくし、中に注がれているココアが表面に薄い膜を貼っていた。



「躰が冷えるよ」



圭吾が叶和の肩に触れ、起きるように即す。

ゆるゆると起き上がり圭吾に即されるまま、叶和の部屋に向う。

ベットに力なく座り、それを支えるカタチで圭吾が肩に手を添えたまま、何も言うでもなしに立っている。

手から伝わる体温に、叶和の感覚も戻ってくる。



「ありがとう。。。」

「大丈夫、電話またあったんだ」

「多分」



多分、大丈夫と問われたので応えた言葉。

戻ってきた感覚に、ブルリと冷えていた叶和の躰が反応した。





/77ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ