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コーストライン
第3章 さざ波




「今日は持参だよ」

「え、奈美ちゃん淹れたの」

「な、わけないじゃん」



ほい、と渡された袋を見たら大手のコーヒー専門店の名前が印刷されていた。

袋から取り出しポールダーに置く。

車内はコーヒーの芳ばしい薫りに包まれる。



「今日は夜のピクニック」



助手席に乗った奈美は、自分の膝に置いた袋を持ち上げる。



「駅内使用」

「ふふ、でもココのベーカリーも美味しいじゃん」

「知ってるよ、私もよく買うから」

「でわ、いつもの場所に出発ー」

「了解」



車を走らせ浜辺につく頃には、奈美が持参したコーヒーはスッカリなくなり、結局自販で追加購入した。



「今度は、ポット持参で店で入れ替えるか」



冗談とも本気か?とも取れる発言を呟く、奈美の表情は真剣だったので、



「店ではやらないでね」



と、釘を挿す。



「まさかー、私でもそこまではやらないよ」



イヤ、やるでしょ。
アナタ、飲み行ったときたまたま呑み専ばかりのときツマミに頼んだ食べ物チャッカリ店の定員さんに頼んで包んでもらってお持ち帰りしてたよね。

と、ツッコミたいが口の中に奈美から貰ったサンドイッチが入っていて、それを言うのは止めて、モボモゴと口の中で咀嚼する。



「で、それって叶和が本命ではないってことじゃない」

「多分。。。」

「で、叶和はどうしたいわけ」

「どうしたいかわからないけど、まだ離れたくない」

「そう
私はなにもソレについては言わないよ
言ったところで叶和が納得しないことにはなにも始まらないし」

「うん、奈美ちゃんはそう言うと思って、でも一人で考えてるともっとグルグルしそうで。。。」

「うん、そのくらいは聞いてあげるよ
吐き出せるときは吐き出しな」

「ん、ありがと」



奈美に言って叶和は少し楽になれた気がした。




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