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第3章 さざ波




「で、そのバイト君とは」

「たまに」



話の都合で圭吾とセックスをしたことも、奈美に言った。



「イヤ、回数ではなくって感想を聞いてるんだけど」

「だから、回数こなしてるんだから、察すれば」

「ん、でもいつもスカしてる叶和から聞きたい」

「何気に失礼なこと言ってる?
スカしてるって褒め言葉?」

「褒め言葉です
で、」

「恥じらいってものが私にもあるんだけど」

「てか、迫ってる時点で恥じらいはないよ」

「か、な?」

「ま、そのときは動揺して、ってことにしとく」

「感想も動揺する、ってことで勘弁してください」



実際、抱かれたときは動揺していた。

そして、普段と違う圭吾をしって、女慣れしているし、案外後腐れがないかも、と叶和はズルい気持ちがあった。

実際、後腐れはなく次の日も何事もないようにお互いに接した。

少しは、気まずいかと思っていたのに。

そして、やっぱり圭吾は女慣れしていた。

恋愛感情がなくても初回こそ意識が飛ぶほど逝かされたが、次からは意識を飛ばさないにしろ、他のことを考える余裕がないほど気持ちよく抱いてくれる。

嫌なことを考えることもなく、余韻に浸りながら深い眠りにつける。



「でも、ズルズル引きずるのもね」

「わかってる」



奈美は、どちらのこととも言わず、叶和もどちらのことも当てはまるよう答えた。




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