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続・飼っていたペットに飼われています。
第49章 宇宙の子④
「…トオル様こちらへ!」
 いつもサクラギが入ってくる階段とは反対方向に2人はひたすら走っていた。
 その奥の重たい扉の前で待っていたとばかりに門番の老人が待っていた。
「おい…、俺達はこれからどうなる?」
 未来が視えると言っていた門番に向って静かに放った言葉が地下をこだまする。
「……わかりません。……と、申し上げさせてください。私も視たくないのです。とにかく明日の晩の夜になるまでここを走り続けて湖に向かってください。その奥に宇宙船を用意しております。昔、私が同郷の者達と奴隷にされるために乗ってきた船です。いつかここを脱出するときに使おうと思っていたのですが、私以外は皆死んでしまいました。…私はここで、トオル様の御母上の墓を守って死んで行きたいと思っています。」
「やっぱりお前…、母さんと出来てたんだな。お前、最初からトワのこと女としてなんか見てなかったろ。お前がトワを見る目はずっと娘を心配する父親のようだった。俺のこともな。」

 ああ、やっぱりな。
 サクラギの言葉と同時に何故か俺までそう思った。
 こうして見ていれば見ているほどサクラギの想いが流れ込んでくるようで胸が苦しい。いや、きっと流れ込んできているんだ。なぜなら俺とアンタは…。
「気づかれていましたか。そちらにいる弟君、いえ。私の息子もトオル様のおかげでこの通り元気に生きております。」
 そういって門番は床にいる黒いイモリのような生き物に目をやった。
「これが元気っていうのかよ。俺はこいつを守れてない。親父の目を逸らすためにこんな姿に変えてやることしかできなかった。自分の力と引換にしてもな。」
「申し訳ありません…。本来ならば、トオル様の方が私なんかよりもずっと良く未来も他者の心も読めていたはずなのですが…。」
「いいんだ。母さんがこいつを、スイを初めて俺に会わせてくれたときまだ母さんの手をギュッと握って離さないガキのくせに俺をジッと睨みつけてきたとき、なんかコイツ好きだなって。俺が一生守ってやんないとなって思ったんだ。だから、次の日に父さんがコイツの存在に気づいてコイツを殺すのが視えた時なんとかしなきゃって思ったんだよ。…本当は、もっといい姿にしてやりたかったけどな。」
 サクラギの…、兄の手をそっと優しく握り直すトワの手の温かい感触が伝わってくる。
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