この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
癖の下僕
第4章 1話 市ヶ谷あかり
今日の夕方、仕事終わりに会社の先輩である篠崎紗枝から声を掛けられた。
いつも仕事の相談にのってくれる、少しどこか抜けてはいるが、おっとりした性格の優しい先輩。そんな彼女の誘いを断る理由もなく、食事の誘いにいつも通り愛想よく乗った。
月に二、三回ほど、先輩とはこうして夕飯をともにしながら、仕事の愚痴や、恋愛相談、どうでもいい雑談をして過ごすのが、あかりにとっての数少ない楽しみでもあった。
「たまには六本木まで繰り出してみない?すごくいいお店見つけたんだ」
いつもは会社の近くのカフェやレストラン、たまには大衆居酒屋で済ませてしまうのだが、その日は珍しくそんな提案をされた。
「それもいいですね・・・けど、高いんじゃないですか?今月ちょっとピンチなんです」
別にお金に困ってるわけではないが、一回の食事に三千円以上は使いたくない、というのがあかりの本音だった。相手を不快にさせないようとりあえず一度肯定してから、それとなく安い店にしようと提案をしてみた。しかし先輩はウィンクしながら
「大丈夫だよっ!私が奢ってあげる♪」
と、太っ腹な発言をした。
「本当ですか?それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらって」
と返事をしたものの、篠崎先輩が奢ると言うときは、決まって面倒臭い仕事をお願いされる。どうせその面倒臭い仕事は食事に行こうが行くまいがお願いされるだから、素直に奢らておこう。そんなことを考えながら会社を出て、駅へ向かおうとすると、
「今日はタクシーで行っちゃおうか。私だすから」
と先輩が提案してきた。
ここ新宿から六本木はタクシーで二千円ほどだが、電車で行けばその半分もかからない。いつもは、水筒を持ち歩くくらい倹約家の先輩が今日はやけに太っ腹だ。
これは、かなり面倒くさい仕事の話だな。と覚悟を決めて先輩が止めたタクシーへ乗り込んだ。
「実は今日もう一人来るんだけど、構わないかな?」
篠崎先輩はあかりとは反対の窓の方を見ながらそう言った。
すでに六本木へ向かっているタクシーのなかで、NOと言えない日本人の私が、その話を断ることはしないだろうと踏んでの話なのだろう。
いつも仕事の相談にのってくれる、少しどこか抜けてはいるが、おっとりした性格の優しい先輩。そんな彼女の誘いを断る理由もなく、食事の誘いにいつも通り愛想よく乗った。
月に二、三回ほど、先輩とはこうして夕飯をともにしながら、仕事の愚痴や、恋愛相談、どうでもいい雑談をして過ごすのが、あかりにとっての数少ない楽しみでもあった。
「たまには六本木まで繰り出してみない?すごくいいお店見つけたんだ」
いつもは会社の近くのカフェやレストラン、たまには大衆居酒屋で済ませてしまうのだが、その日は珍しくそんな提案をされた。
「それもいいですね・・・けど、高いんじゃないですか?今月ちょっとピンチなんです」
別にお金に困ってるわけではないが、一回の食事に三千円以上は使いたくない、というのがあかりの本音だった。相手を不快にさせないようとりあえず一度肯定してから、それとなく安い店にしようと提案をしてみた。しかし先輩はウィンクしながら
「大丈夫だよっ!私が奢ってあげる♪」
と、太っ腹な発言をした。
「本当ですか?それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらって」
と返事をしたものの、篠崎先輩が奢ると言うときは、決まって面倒臭い仕事をお願いされる。どうせその面倒臭い仕事は食事に行こうが行くまいがお願いされるだから、素直に奢らておこう。そんなことを考えながら会社を出て、駅へ向かおうとすると、
「今日はタクシーで行っちゃおうか。私だすから」
と先輩が提案してきた。
ここ新宿から六本木はタクシーで二千円ほどだが、電車で行けばその半分もかからない。いつもは、水筒を持ち歩くくらい倹約家の先輩が今日はやけに太っ腹だ。
これは、かなり面倒くさい仕事の話だな。と覚悟を決めて先輩が止めたタクシーへ乗り込んだ。
「実は今日もう一人来るんだけど、構わないかな?」
篠崎先輩はあかりとは反対の窓の方を見ながらそう言った。
すでに六本木へ向かっているタクシーのなかで、NOと言えない日本人の私が、その話を断ることはしないだろうと踏んでの話なのだろう。