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癖の下僕
第4章 1話 市ヶ谷あかり
先輩に案内されたお店は自分では絶対に行かないような、高級感のあるイタリアン・レストランだった。スペースに余裕をもってテーブルが並べられ天井からは黒く塗られた円形のシャンデリアがぶら下がり、その下の大きな花瓶には大量の花が活けられていた。カンツォーネが会話を邪魔しない程度の音量で流れている
安物のブラウスにジャケット、スキニージーンズにスニーカーというあかりの服装は、とても店の雰囲気に合っているとは言い難かった。
「すごい素敵なお店ですね。こんなところ初めて」
先ほどの不快な気持ちが吹き飛ぶくらいにお店の内装に感動したところで、背の高い上品そうなウェイターに案内され席へ向かった。
案内された席にはすでに男性が一人、背筋をまっすぐと伸ばし、首だけ下を向き、スマートフォンをいじりながら座っていた。
いかにも高そうなスーツを着ていて、その袖からはエルメスの腕時計をのぞかせている。
先輩の言った通り、清潔感があり、顔も整っていた。正直あかりのタイプのだった。
先輩が
「こちら新藤さんです。で、こちらがお話していたあかりです。」
とそれぞれ順番に紹介した。
男は黒ぶち眼鏡のレンズ越しに、あかりの顔をじっと見つめると、小さく笑みを浮かべ
「どうぞ掛けてください。今日は来てくれてありがとう」
と深みのある優しそうな低い声でそう言った。
先輩は席には座らず、最初からそう決まっていたセリフを言うかのように
「すみません、ちょっとお手洗いに行ってきます」
と入ってきた入口の方へ足早に歩いていってしまった。
しょうがなく簡単な挨拶をして席に座るとウェイターが横文字だらけのメニューを渡してきた。
「何でも好きなものを頼んでください。」
そうは言われても、メニューに書いてあることがよくわからない。メニューを見ながら固まっていると、その困っている雰囲気を察したのか
「もしよければ、私が適当に注文しましょうか?」
と聞いてくれたので、
「すみません・・・お願いします」
と、恥ずかしさで少し頬を紅く染めながら、その提案に乗せてもらうことにした。
安物のブラウスにジャケット、スキニージーンズにスニーカーというあかりの服装は、とても店の雰囲気に合っているとは言い難かった。
「すごい素敵なお店ですね。こんなところ初めて」
先ほどの不快な気持ちが吹き飛ぶくらいにお店の内装に感動したところで、背の高い上品そうなウェイターに案内され席へ向かった。
案内された席にはすでに男性が一人、背筋をまっすぐと伸ばし、首だけ下を向き、スマートフォンをいじりながら座っていた。
いかにも高そうなスーツを着ていて、その袖からはエルメスの腕時計をのぞかせている。
先輩の言った通り、清潔感があり、顔も整っていた。正直あかりのタイプのだった。
先輩が
「こちら新藤さんです。で、こちらがお話していたあかりです。」
とそれぞれ順番に紹介した。
男は黒ぶち眼鏡のレンズ越しに、あかりの顔をじっと見つめると、小さく笑みを浮かべ
「どうぞ掛けてください。今日は来てくれてありがとう」
と深みのある優しそうな低い声でそう言った。
先輩は席には座らず、最初からそう決まっていたセリフを言うかのように
「すみません、ちょっとお手洗いに行ってきます」
と入ってきた入口の方へ足早に歩いていってしまった。
しょうがなく簡単な挨拶をして席に座るとウェイターが横文字だらけのメニューを渡してきた。
「何でも好きなものを頼んでください。」
そうは言われても、メニューに書いてあることがよくわからない。メニューを見ながら固まっていると、その困っている雰囲気を察したのか
「もしよければ、私が適当に注文しましょうか?」
と聞いてくれたので、
「すみません・・・お願いします」
と、恥ずかしさで少し頬を紅く染めながら、その提案に乗せてもらうことにした。