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癖の下僕
第4章 1話 市ヶ谷あかり
注文を終えてしばらくたっても先輩が帰ってこないので、
「篠崎さん遅いですね」
と、入口のを方に視線を向けながらつぶやくと、新藤は申し訳なさそうな顔をしながら
「実は二人でお話がしたかったので、篠崎さんには帰ってもらったんです。黙っていて申し訳ありません。」
少し申し訳なさそうな顔をしながらそう答えた。
罠に嵌められたようで、とても腹が立ったがここで怒ってもしょうがない。それに新藤という男の雰囲気はとても悪い人には見えなかったので、あかりはしょうがなく、
「そうなんですか。ところでお話って何ですか?」
と仕事のときのような、きりりとした口調で質問してみた。
少し間をおいてから新藤が口を開こうとすると、ウェイターがやってきて、テーブルの上に空のワイングラスを置き、難しい言葉でイタリア産の白ワインの説明を始めてしまったので、とりあえず乾杯することとなった。
ワインのことは詳しくないが、いままで飲んだどのワインよりもおいしくと思った。
結局、質問の答えが聞けないままだったが、ワインを全部で三杯ほど飲みながらで、順に運ばれてきた三品ほどの上品に盛り付けられたイタリア料理を食べ終えるまで一時間ほど、新藤は飲んでいるワインの話や、運ばれてきた料理の話、このお店のこと、近頃の天気の話など、新藤自身やあかりのこととは直接関係のないを話した。
先ほど話しかけた質問の答えが気になってはいたが、新藤との会話はなかなか興味深く、ときには軽いジョークも交え、とても楽しいものだった。
一通り食べ終わる頃には、程よく酔いもまわり、あかりはとてもいい気分になっていた。
会話と食事がひと段落すると唐突に、新藤は少しまじめな顔をして
「君がマネージャーをやっている啓君のことだけど、僕が手を回せばN局かT局の音楽番組に出してあげられるよ」
と、おそらくは今日の本題であろう話題を切り出した。
「篠崎さん遅いですね」
と、入口のを方に視線を向けながらつぶやくと、新藤は申し訳なさそうな顔をしながら
「実は二人でお話がしたかったので、篠崎さんには帰ってもらったんです。黙っていて申し訳ありません。」
少し申し訳なさそうな顔をしながらそう答えた。
罠に嵌められたようで、とても腹が立ったがここで怒ってもしょうがない。それに新藤という男の雰囲気はとても悪い人には見えなかったので、あかりはしょうがなく、
「そうなんですか。ところでお話って何ですか?」
と仕事のときのような、きりりとした口調で質問してみた。
少し間をおいてから新藤が口を開こうとすると、ウェイターがやってきて、テーブルの上に空のワイングラスを置き、難しい言葉でイタリア産の白ワインの説明を始めてしまったので、とりあえず乾杯することとなった。
ワインのことは詳しくないが、いままで飲んだどのワインよりもおいしくと思った。
結局、質問の答えが聞けないままだったが、ワインを全部で三杯ほど飲みながらで、順に運ばれてきた三品ほどの上品に盛り付けられたイタリア料理を食べ終えるまで一時間ほど、新藤は飲んでいるワインの話や、運ばれてきた料理の話、このお店のこと、近頃の天気の話など、新藤自身やあかりのこととは直接関係のないを話した。
先ほど話しかけた質問の答えが気になってはいたが、新藤との会話はなかなか興味深く、ときには軽いジョークも交え、とても楽しいものだった。
一通り食べ終わる頃には、程よく酔いもまわり、あかりはとてもいい気分になっていた。
会話と食事がひと段落すると唐突に、新藤は少しまじめな顔をして
「君がマネージャーをやっている啓君のことだけど、僕が手を回せばN局かT局の音楽番組に出してあげられるよ」
と、おそらくは今日の本題であろう話題を切り出した。