この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
癖の下僕
第7章 4話 市ヶ谷あかり
自宅でテレビを見ていたあかりのもとへ、新藤からの電話がかかってきたのは、その二日後の夜だった。
「こんばんは。今大丈夫ですか」
そう聞かれてあかりは
「ええ。どんなご要件でしょうか」
と冷たく仕事口調で答えた。新藤はそれを気にすることなく
「啓君の件だけど、今度やる生放送特番の〝キングダム・シンガー〟への出演をオファーすることが決まったよ」
キングダム・シンガーは毎年、海の日に生放送される人気音楽番組だ。
沢山の有名ミュージシャンを集めて、若手歌手のパフォーマンスを評価する。ときにはちょっと売れっ子の歌手にも、容赦ない批判を浴びせ、そのせいで業界を去った若手も少なくない。
ただし、そこで高評価を得られれば、一気にスターの仲間入りになることも夢ではない。普通は、まったくの無名歌手など出演することはできない番組だ。
「そんな、すごい番組、どうやって」
そうあかりが聞くと、新藤は
「まあ、番組プロデューサーに貸しがあると言っておくよ。それに出演する芸能人はみんな、僕のトモダチだからね」
 篠崎先輩の言った通り、新藤は業界にかなり顔が利くらしい。
「すごいですね。本当にありがとうございます」
素直にあかりがお礼を言うと、新藤は
「お礼はいいんだ。約束したからね。だけど、条件がある」
言った。あかりは、眉をしかめて
「その条件はこのあいだ終わらせたはずですが」
と冷たい声で答えた。
「たしかに。だからこの条件を君が聞かなくても、九段下啓へのオファーを取り下げることはしないよ。
 ただこの番組での評価は、彼の歌手としての一生を左右するかもしれない。下手な批判は受けたくないだろう」
新藤は出演者にも顔が利く。あかりが断れば啓の実力とは関係なしに、ひどい批判をうけることになるのだろう。
「条件ってなんですか?」
しかたなくそう聞くと、
「とりあえず今週の金曜の夜七時、もう一度、この前の店にきてくれるかな。その時に話すよ。それじゃ」
そういって新藤は、あかりが返事を聞かずに電話を切った。
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ