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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第35章 兄を見過ごすワケにはいかない

「殴ったらさすがにマズイよ。でも文句言うって言っても、また店に行かないと会うことは出来ないんじゃないかな?」

そうでもしない限り、兄は鴨志田に会うことは出来ないだろう。

「そうなんだよな…でももうオレ金無いしな。ただこのままじゃ気がすまないんだよ」

オレは少し迷ったが、手持ちの金は50万以上あった。

どうせ持ってても何も使わない金だ。

オレも鴨志田に会って話をしてみたいが、15才じゃソープになんて行けやしない。

オレは兄に当面の生活費代わりの足しにしてくれと、その金を渡した。

「いいのか、亮輔?オレこんなに金貰っても返すアテがないんだぞ?」

「いいよ、別に返してもらおうだなんて思ってないし。後はこの金で生活費の足しにしてすればいいじゃん?」

オレは笑みを浮かべ、兄に金を渡した。

「亮輔、すまない、ホントにありがとう!」

何度も頭を下げ、兄は金を受け取った。

そしてオレら兄弟はコーヒーショップを出て連絡先を交換してから別れた。

「お前も何かあったら遠慮なく連絡してくれ」

兄は手を振って、繁華街の細い路地の先にある駅に向かっていった。

これでいいんだよな…オレなんかがあんな大金持っても仕方ないんだ。

何か良い事をしたようなちょっと嬉しい気持ちでオレはまた繁華街を少しうろついてから家路に着いた。
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