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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第55章 マンションを売り飛ばす
沢渡はギョッとした。まさかあの晩の出来事も?

「どうしました?」

達也は沢渡の態度を見て、覗きこむように顔を見て尋ねた。

「い、いや何でもないです。でも社長、それはいわゆる枕営業というヤツでは…」

「芸能界風に言えばそうなりますかね。でもご安心ください。
鴨志田はそれも承知の上で僕の秘書になったのですから。
くれぐれもこの話は他に漏らさないように。
誰かに聞かれたら色々と厄介になって、せっかくの約束が叶えられなくなります。
では、よろしく頼みますよ」

達也はニコッと笑い、その場を去った。

沢渡としても、大金が入る予定だ。下手な事は言えない。
おまけに達也に弱みを握られている。

とにかく自分は自分の仕事をするだけだ、沢渡はそう自分に言い聞かせるようにして落ち着きを取り戻した。

そして達也と鴨志田はまず、国内でも屈指の不動産業において有名な会社を訪れた。

「この土地と建物なのですが、売却するとなると、ざっといくらぐらいになるでしょうか?」

達也はまず、ワンルームマンションの売却がいくらになるか、見積りをして欲しいと頼んだ。

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