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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第55章 マンションを売り飛ばす
窓口で対応した人物は、それなりの重要なポストに就いていた男だった。

見積り額は達也の思っていた額より低かった。

「あの物件であの立地条件でたったこれだけですか?」

達也は話にならん、とばかりに憮然とした態度をとった。

「私どももこれで精一杯な額なんです。多分、他の不動産に行っても、これ以上の額では無理です、むしろもっと低くなるはずです」

達也は考えた。この額でもさほど問題にはならない。
ただ、出来るだけ高く、そして一刻も早く売却したい、それだけだった。

そして達也はもう1つ窓口の相手に提案した。

「では、このワンルームマンションとプラスして、今私が住んでるマンションを売却したらどのくらいになるでしょうか?」

「えっ、あのマンションを?」

鴨志田が思わず声を上げた。

達也は母親が残したマンションさえも売却する考えだった。

(何考えてんの、この男!あのマンションまで手放したらどこに住むつもりなのよ!)

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