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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第70章 精神力

「沢渡さん、こんな事ばかり聞いて申し訳ありません」

亮輔は頭を深々と下げた。

「いや、いいんだ。亮輔くんが聞きたがるのも無理はない」

「でも…」

「ん?」

「もし、例えばの話ですが」

亮輔は前置きをして沢渡に話を続けた。

「兄がもし、事故じゃなく、誰かの手によって殺されたとなれば、僕は当然だ、と思ってます。ただ、1つ残念なのは、僕がこの手で兄を叩き潰せなかったのが心残りです。兄はあまりにも人を欺き、蹴落とし、人の命すら何とも思わない最低な人間です。
僕がいずれこの手で地獄へ落としてやりたかった。
今の僕の正直な気持ちです」

亮輔は沢渡を見つめ、兄に対する憎しみを包み隠さず話した。

「亮輔くん、君はお兄さんのような道を誤るような人生だけは送らないで欲しい。
お兄さんを憎む気持ちは解る。
だけど、目には目を、という気持ちだけは持たないで欲しい」

その気持ちは痛いほどわかる!と言わんばかりの気持ちだった。

亮輔は、多分、鴨志田を消したのは達也で、達也は沢渡の手によって消された。

今、こうして話をしていて、沢渡が達也の傍若無人な振る舞いに対して、鉄槌を食らわせたのだと。


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