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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第76章 兄の幻影
翌週、仕事を終え、教室に入った際、凜から千円札二枚と小銭を渡された。

「何、これ?」

「先週のカラオケで五千円置いてったでしょ?割勘で払ったからそのお釣よ」

ふーん、そうなのか、オレはお釣を受け取り、席に着いた。

隣で凜が小声で
「ねぇ、ホントは坂本さん達の話がイヤになって帰ったんじゃないの?」と聞いてきた。

図星だ。だがそうとは言えず、オレはテキトーに用事があったと言ってごまかした。

いい年こいて、いまだにヤンキー癖が抜けきってないヤツらの昔話なんて聞いてもこっちはつまらないだけだ。

それよか、ここ数ヵ月の間に起こったオレの出来事に比べりゃ大した事じゃないだろ。

言うつもりもないが、坂本達はあれでもオレより倍以上生きてる大人だ。

あれが大人なのか、ガキ臭ぇ話に盛り上がってバカじゃないか。

そんな事を思いつつ、また授業が終われば風俗に行こうと考えていた。

さっさとあの金を使いきりたい。

「ねぇ、今度は二人でカラオケ行かない?」

「ん?」

凜が授業中、オレにくっつくように身体を寄せて話しかけてきた。

「二人だけで?」

「そう、あの人達のヤンキー話、私も好きじゃないから、今度は二人で行こうよ、ダメ?」

断る理由も無いし、いいよ、と返事をした。

凜はスレンダーで、少し茶髪にしたセミロングのヘアーで、少し彫りが深い顔をしている。

服装もカジュアルで、着こなしがサマになって、読モと言ったら皆が信じそうなスタイリッシュな女だ。

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