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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第110章 清濁併せ持った人間になりなさい
オレは瓜田の時のように、オーナーにも同じ質問をした。

「オーナー」

「ん、なぁに?」

「単刀直入に言いますけど、オーナーってヤクザの人なんですか?」

「えぇっ!私がヤクザ?こらっ!何て事言うの!」

【ギュッ!】

「痛っ!」

オーナーはオレのタマをギュッと握ってきた。

「全く…何を聞いてくるのかと思ったら…私、ヤクザの人間に見える?」

瓜田にしろ、オーナーにしろ、とてもじゃないが、裏社会で生きてる人間とは思えない。

確かにレンタル会員は非合法で言わば売春斡旋の組織だ。

そういう法に触れる事には必ずヤクザがつきものだと思っていた。

【あの世界に入ったら、いくら私でも責任は負えないし、立ち入る事も出来ない…】

沢渡さんの言葉を思い出した。
レンタル会員の鉄則として、何があっても、レンタル期間中は客の側にいて、要求に応える事、そう言われ続けた。

それが例え、親兄弟が不幸な事にあってもだ。

その鉄則を破った者は消される…

これだけでも十分ヤクザの世界だ。

なのにこのオーナーからは裏の社会の人間独特の凄みというか、恐ろしさはそれほど感じない。

「もしかして亮輔くん、私の事ヤクザだと思ってたの?」

オーナーはまた胸をオレの顔に押し付け、優しく包みこむように抱いた。

「亮輔くん…今どんな気持ち?」
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