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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第116章 何故生きているのか?

【鬼畜、ろくでなし、女の敵!】
こんな事を言われると思う。
だが、これがオレの偽らざる心境だ。

母親と初めて性行為をして以来、母親を越えるような女はいなかった。

マザコンと言えばそれまでなのだろう。

だが、初体験があまりにも鮮烈で刺激的過ぎたためか、同じ年齢の女では満足出来るセックスは無理だった。

だからと言って熟女なら良いのか?と言われればNOである。

だから、母親が亡くなったと同時に、いや母親が兄の手によって南米に売り飛ばされた頃から、セックスという行為がつまらなく、空しいものだと思うようになった。

しかし皮肉な事に、そのセックスを生業として、大金を稼いでしまった影響から、汗水垂らして頭を下げ、満員電車に乗って会社へ行くという仕事がバカバカしく思い、終いには野垂れ死になればいいやと思う程、人生に絶望を感じた。

だが、中々そう簡単には死なないもので、オレは死ぬなら自殺だけはやるまいと思っている。

他殺でも事故でも病気でもいいから、そういう死なら受け入れる。
しかし、まだ生きられるのに、わざわざ自分の手で命を落とすような事は、オレの中ではあり得ない行為だ。



…いつも部屋でこんな事ばかりを考えている。
他人から見れば、オレの人生、詰んでいると思われるだろう。
でも、どういうワケか、まだ生きている。

この数年間でオレの周囲の人々が何人死んでいったか。
なのにオレだけは生きている。

という事は、何故生きているのか?
それは何の為に生きているのか?
答えは見えないが、きっと何かをするために生きているんだと思う。

今は見えないが、生きていれば何かが見えてくる。

例え、ろくでなしであろうとも、ゲスだクズだと罵られてもだ。


オレはふとカレンダーに目をやった。
明日は鴨志田の月命日だ。
最近はあまり墓に足を運んでいない。

久々に会いに行こうと思う。
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