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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第134章 悪魔にもなれなかった雑魚
それは解っていた。
人を陥れる為には手段を選ばない、卑劣なヤツだったから。

「で、鴨志田さんが亡くなり、お兄さんも亡くなった。
実はその前の時点で会社を売却するつもりだったんだ」

「…っ!」

そこまで読んでいたのか?

「君にはあの会社は倒産寸前だと言った。だが、それ以前に新しく作った会社で、有能な人材を入れて、お兄さん達には知られないようにして経営していたんだ。
亡くなった人間の事を悪く言うのは良くないが、君のお兄さんはシロアリのような存在だった。本来なら社長に就任させるのを止めるべきだったんだ。
だが、紆余曲折があって社長に就任した。
これは私の責任でもあるんだが」

今、沢渡さんが言ってた事を額面通りに受け止めれば、兄は沢渡さんの掌で踊らされていただけだったワケだ。
百戦錬磨の沢渡さんが、19才だった兄が敵うはずがない。

そして兄は悲惨な結末で人生の幕を下ろした。

多分、沢渡さんははっきりと明言してないが、兄を消したと遠回しに言ってるように聞こえた。

だが、沢渡さんを恨むつもりは全く無い。
むしろ感謝している。

あの人の皮を被った悪魔、いや悪魔にもなれなかった雑魚が意気がって招いた結果なのだから。

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