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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第136章 やっぱり話せない…

「ねぇ、お腹空かない?どっか海岸沿いにレストランとかあればいいね」

そうだ、沢渡さんから預かった金がある。

その金で飯を食おう。

「あの店は?パスタとかピザの専門の店みたいだけど」

前方にテラスのあるイタリアンの店を見つけ、オレたちは店内に入った。車から降りたせいか、息苦しさは治まった。

「古賀くん遠慮なく食べて、お金の事は心配しなくていいから」

やっぱり女に飯代出してもらうのは気が引ける。

「いいよ、今日はオレが出すよ」

「だってお金無いんでしょ?無理しなくていいから、どんどん頼んで、ね?」

金を出せば、そのお金どうしたの?と言われるだろうし、奢ってもらうのも悪い気がする。

「じゃあ、割り勘にしようよ。オレそのぐらいの金ならあるし」

ナツは不思議そうにオレの顔を見た。

「古賀くんてさぁ、何でそう奢られるのとか気にするの?いいじゃん、私が出すって言ってるんだから」

「だって、これから部屋に居候する身なんだぞ。そこまで甘えてらんないよ」

ナツはフフフッと笑っている。

「いいよ、いつでも甘えても。私、古賀くんなら甘えられても文句言わないから。ていうか、甘えて欲しいの、ね?」

この笑顔が今のオレにとっては苦痛でしかない。

この笑顔が真相を話しても笑顔でいられるのか…

結局、ナツにご馳走になった。
だが、何を食べて、どんな味がしたかなんて覚えてない。

頭の中は真実を語るかどうか、しつこいようだが、その事だらけだ。

「そろそろ帰ろうよ。寒くなってきたし、何か今日は少し疲れてるのか、寝たい気分だから」

「じゃあ、寝てていいよ。私、車運転するの久しぶりだからもうちょっとこの辺走りたいし」

「オレ、車の中で寝る事出来ないんだよ。何でか解らないけど、寝ようと思っても寝れないんだ」

「そっか、じゃまた今度一緒に来よう。それじゃ帰ろうね」

「悪いな、色々と世話になって…」

「だって…私好きだから、古賀くんの事」

…こんな事言われて、真実はとても話せない…
益々オレは苦悩していた。

絶対に話しは出来ない。ウソなら最後までウソをつき通そうと。
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