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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第140章 取り戻した笑顔
「先生、ナツに言われたよ。一生生きて苦しめ!って。
何せ人殺しの弟だからな、オレは。
それよかオフクロとはそっちの世界で仲良くやってるか?
オレももうすぐそっちに行くから、皆で一緒に暮らそう。
でもオレは地獄行きかな。
じゃ、ちょっとオフクロんとこにも行ってくる。先生またな」

オレは同じ墓地にある母親の墓にもお参りした。

「オフクロ、オレは生まれてきちゃいけない人間だったのかな?
でも死ぬ事すら許されないらしい。正直な話、今苦しいよ…生き地獄だ。
皆、オレの周りの人達は死んでいった。呪われてるのかな、オレ。もう、何がなんだか…何の為に生きてるんだろう?
会いたいなぁ、オフクロに…
それと先生とは今までの事は水に流して、向こうで仲良くやってくれよ、なぁ?
じゃ、また来るね」

生みの母、育ての母の墓前に話をして、オレは墓地から寺の出口へと歩いていった。

「…お姉ちゃんのお墓ってどこにあんの?」

寺の門の入り口にはナツが腕を組んでオレを待っていたかのように、数日ぶりに口を開いた。

「…今案内するよ」

オレはまた鴨志田の墓前に向かった。

「ここだよ」

【鴨志田家】と記された墓石の前に立った。

墓石の側面には亡くなった日にちと年齢が刻まれていた。

「…!お母さんが亡くなった日と一緒だ…」

「えっ?」

ナツは母親をガンで亡くしている。
その亡くなった年月日が鴨志田と一緒らしい。

「…お姉ちゃん」

ナツは墓石の前で泣き崩れた。

オレは少し離れてナツと鴨志田の二人きりしておこうとして遠目でナツの様子を見ていた。

ナツはただ泣きながら手を合わせていた。

お互い酷な人生を歩んできたな。

だからオレたちは悲しみに満ちた目をしているのだろう。

しばらく墓前の前にいたナツはオレの所へ来て、クシャクシャになってメイクが崩れた顔をしていた。

「亮ちゃん、亮ちゃんも苦しんでたんだよね?」

そう、オレはずっと胸の痛みに迷いながら苦しんでいた。
この先もそうなるだろう。

「久々にパスタでも作るから早く帰ろう」

ナツは笑顔になり、一緒に帰った。
オレを許してくれたのだろうか?
それは解らないが、以前のように話をするようになった。
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