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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第141章 近親相姦再び
ナツはいつものような表情に戻った。
オレの事を許してくれるとも、許してくれないとも言わない。
ただ、今まで通りの感じで一緒に暮らした。

もう、ナツの部屋に転がり込んで、かれこれ一月半ぐらいになる。

オレは相変わらず心療内科に通い、処方された薬を服用している。
見た目には効き目があるのかどうかなんて解らないけど、少しずつ良くなってきているように思える。
薬を飲んだからといって、劇的に治るという事はない。

たまにウッ、と息苦しくなる時があるが、その程度ならすぐに元に戻るようになった。

睡眠も一時期に比べたら、少しは眠れるようになり、食欲も前と比べたらマシな方になった。

ただ、心の奥底に突き刺さったナツの言葉
「人殺しの弟!」「死ぬのが楽なら生きて一生苦しめ!」

この言葉が離れない。

苦しんで、もがいて、死ぬ事すら出来ない。

ナツはそんな事を口にしなくなったが、いつまたその言葉を言われるのか、それを思う度にオレは生きながら死んでいるかのように過ごしていくのだろう。

「亮ちゃん、たまには外に出ない?」

ナツが休みの日にオレを誘い、外に出た。

行き交う人と人。この人達は何を考え、何を思って生きているのだろうか。

人間観察というワケじゃないが、知らず知らずのうちにそんな事を考えるようになった。
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