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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第176章 漂流街
一体どんな事をやってきたんだろう?
達也はソンヒョクという人物に益々興味が湧いてきた。

「オレは在日の2世で、オヤジとオフクロは元々韓国に住んでいたんだ。で、親戚を頼って日本に密入国してオレを生んだって事らしい。
何せこの地域は日本の警察でさえタッチ出来ない程、同胞の集まりだからな。
その同胞をまとめてるのが、この地域を仕切ってるマフィアって事だ」

まるで漂流街みたいな場所だ…

「見ての通り、ここは向こうのコリアンタウンと比べて格差の激しい地域だ。言ってみりゃ貧民街っていうのか?そんな界隈だ、見て解るだろ?ここに住んでる連中はまともに学校に行ったヤツなんてほとんどいない。
っていうか、行けないって言った方がいいのかな、ほとんどが密入国のヤツラだから朝鮮学校にも通えやしねぇ。オレもその中の1人なんだが…」

これじゃ治外法権じゃないか…今のこの日本にこんな踏み入れる事の出来ない場所があるとは…

何から何まで達也には未知の世界だ。

「で、オレらガキは学校にも行けない。だからここには勉強と格闘術を教えてくれる人物がいて、オレはここでその全てを学んだって事だ」

「…ってことはやっぱりマフィアの関係者って事か?」

ソンヒョクはコーナーへもたれかかり、軽くストレッチを始めた。テコンドーをやってるだけあってかなり身体が柔軟だ。

「いや、その人は同胞じゃない、イルボンの人だ」

「へっ…?日本人がこのコリアンタウンで勉強教えてたのか?」

達也は益々ワケが解らなくなってきた。

この日本で日本人でさえ踏み入れる事が出来ないこの土地で日本人が在日コリアン相手に勉強を教えていたとは…


「達也、さっき言ってた養成所って話だが…実はここがその養成所だったってワケだ、ワハハハハ!」

…益々ワケが解らない…

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