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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第177章 イルボンのソンセン
「日本人がここでアンタらを教えたってのか?」

「そういう事、確か20年ぐらい前になるが、オレを含め、7,8人の子供がここに集まってイルボンの言う事や身体を鍛える為に様々な事を学んだ」

ソンヒョクは相変わらずストレッチを続けている。
開脚や、立ったまま膝を曲げずおでこが膝にくっつく程の柔軟さだ。
テコンドーストレッチといって、テコンドーには欠かせない柔軟性を養うウォーミングアップでもある。

「オレたちはその人をソンセン(先生)とかソンセンニム(先生様)って呼んでた。その人は今、お前が寝泊まりしている宿泊所に住んでいて、朝になればここに来て、オレたちに色んな話をしてくれた」

達也は何故、こんな場所で日本人が在日コリアンの子供を教えていたのか?
しかもソンヒョクはその格闘術を暗殺術として使っている…

それもその日本人が伝授したのだろうか?

「その日本人ってのは何モンなんだ?」

「…解らない。ただこの場所にフラッと現れ、この場所でトレーニングしていた。
オレたちはその様子を外からジッと見ていただけだったが、ソンセンがオレたちを見て、こっちに来て一緒にトレーニングしよう、と言ったのが始まりだったから」

(ったく不思議な日本人だな、こんなとこに来てとんでもねぇ事教えるなんて…)

「てことは、そのソンセンはハングルを使ってたのか?」

次のタバコに火を点け、プハーっと煙を吐き出した。

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