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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第28章 初仕事
すると、コンパネという、コンクリートパネルの略なんだが、その合板がコンクリートの型枠用の板として使われている。

それを運び、上まで持っていかなきゃならない。

板といえども、大きくそれなりに重いので力仕事が初めてのオレにはかなりの重労働だった。

「よし、そのコンパネをそこへ置いとけ」

オレはただひたすらコンパネを上に持っていく作業を繰り返した。
見習いだから雑用から始まるのはわかるが、人使いの荒い連中に途中で「墨ツボ持ってこい」と言われ、何が墨ツボなのかわからずにウロウロしていると
「バカヤロー、墨ツボも知らねえのか、目の前にあるだろ!」と怒鳴られた。

墨ツボとは、 壺の部分には墨を含んだ綿が入っている。糸車に巻き取られている糸をぴんと張り、糸の先についたピンを材木に刺す。 つまりそのラインにそってコンパネを鉄筋を組んだところに張り付け、コンクリートを流し込むらしい。

オレは大工の道具といったらハンマーと釘とカンナぐらいしかしらない。

てっきり釘を打ったり、かんなで材木を削るものだとばかり思っていた。
想像していた仕事と丸っきり違う作業で、おまけに、あれ持ってこい、これ持ってこい、等と色んな連中に指図される。

しかも名前じゃなく、「おい!」とか「よお!」だとか呼ばれるから最初は誰の事を言ってるのか解らなかった。

全てがわからないまま、ただ言いなりに雑用に専念した。
そして休憩に入り、詰所でジュースやコーヒーを飲みながらモクモクとタバコの煙が充満している。

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