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ファニーキンキー
第10章 それは同日


教室に戻ると手招きをする椎ちゃんに呼ばれた。なにやらとっても可愛い笑顔を向けられて。

「あのね、寧奈のイラストを描いてきたんだ。プレゼントっ」

「え?」

「ちょっと自信作。ふふっ。頑張ったよぉ」

可愛い花柄の紙袋を渡される。袋の上からでもわかる、額縁の固い感触。

「あっ!フレームに入れてくれたんだね。見てもいい?」

「ふふふっ」

口に手をあて、肩をすくめて嬉しそうな笑顔。相当な自信作だと窺える。

自分の姿がどんな風に描かれてるんだろう…ドキドキしながら袋から出したそれには、スポーツ大会でのワンシーンが描かれていた。

体育館のステージに座るあたしと、ステージに手をつく翔太郎が見つめ合ってる姿。
そう、椎ちゃんが顔から火を出したあのシーン。

「椎ちゃん、これ…照れますなぁ」

「ふふっ、この時ふたりがすごく仲良くて、うらやましいなぁって思ったの」

「そなの?!あたしはあの時、椎ちゃんの惚気話を聞いてうらやましく思ってたのにー」

「うふっ。お互いそんな事思ってたんだね」

自分が描かれたイラストがこっ恥ずかしくて、じっくり見ることも出来ずに袋に戻した。

「椎ちゃん、すっごく嬉しい…ありがと。大事にするね。翔太郎と一緒に見ていい?」

「うん。あっ、ポエムは寧奈が書いてね」

「えーっ!あたしセンスないからなぁ…」

「思いをポエムにしなさいって言ったのはだぁれ?」

「てへっ」

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