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ファニーキンキー
第10章 それは同日
お茶の用意をしている手を止めさせ、ケーキの前に座らせると、1と7のロウソクに火を点け、バースデーソングを歌ってあげる。
歌が止んだ瞬間、火を吹き消そうとした翔太郎の口に、慌てて手をあて…
「お願い事した?吹き消す前にお願い事するんだよ?」
「そうなんだ?んー」
しばらく考えてから目を閉じた。
「したよ」
あたしがコクンとうなずくと2本のロウソクに灯った火を一気に吹き消した。
「誕生日おめでとー。叶うといいねー」
あたしは満面の笑みを捧げた。
「ん、ありがとう」
目を細めて微笑む翔太郎に、あたしの方が幸せな気分にさせられる。
「そうだ!椎ちゃんからステキなもの貰ったんだ。椎ちゃんね、イラスト描くのが得意でね、あたしにも描いてくれたの」
椎ちゃんお得意のやわらかな色彩で、少女漫画タッチであたしのことを3割増しくらいに美化して描いてくれたイラスト。
フレームを裏返しにして翔太郎に渡す。
「おおー。何それ、見ていいの?」
「うん」
くるっと表に返した途端、口をぽっかりと開けみるみるうちに顔を赤らめていく。