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ファニーキンキー
第11章 それは解放
大音量で繰り返し聴きながら、体に感じる現実と曲の世界をリンクさせる……
うぁ、鳥肌が立つ…
中学生のあたしが当時見ていた彼らは高校生だった。今のあたしと同じ高校生。
すごく楽しそうに活き活きとしている彼らを羨望の眼差しで見つめ、高校生になったらあんな青春が待ってるんだと期待に胸を膨らませたこともあった。現実は、トイレで生きる喜びを叫ぶあたし…青春とはこんなものなのか。
「……っぎゃ!!」
何度目かのサビに入った時、不意に胴を掴まれ、後ろに引っ張られた!視界が揺れ、高所に居ることを思い出す。
「わぁぁ、落ちるっ!」
掴まれたまま後ろに倒れ込んだ。イヤホンが外れ飛び込んできた声は…
「早まっちゃダメっ!」
……先輩だった。
「うぇ?」
「あぁー!間に合って良かったわ。焦ったわよ、どうしてこんな真似するの!」
「なぜ、ここに?」
「さぼって屋上に来たら、あなたが居たのよ。虫が知らせたのかしら?私でよかったら何でも話してちょうだい」
先輩は顔を真っ赤にし、真剣な面持ちを向けてきた。
「はぁー…」
あたしの密かな楽しみを邪魔されて……大きなため息を吐いた。