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ファニーキンキー
第11章 それは解放
至福の笑みのままトイレから出ると、翔太郎が腕組みをして壁にもたれていた。
「ぎょっ」
「寧奈、大丈夫か?」
心配そうな顔で近づいてくる。
「何があったんだ?」
そうか、おなかの具合じゃなくて、先輩の方か…
「何も無いよ」
「あんなところで二人でいるなんて…何かされたんだろ?」
い、いやぁ、酔いしれたポージングで音楽に浸ってたところを、飛び降りだと勘違いした先輩に引き倒されてたなんて言えない…しかも焼き芋のせいで第二波に襲われて苦しんでたなんて…
「だ、だから、何も無いって」
「また何か酷い事言われたのか?俺のせいだよな…」
以前先輩に叩かれた騒動もあって、相当心配しているであろう翔太郎は泣きそうな顔を向ける。
翔太郎に心配されて心がくすぐったい…翔太郎の首に腕を絡め、顔を引き寄せる。
「心配させてごめんね」
あたしの首元に顔を埋めさせ、抱きしめた。
「先輩との関係はもう悪くないから…大丈夫だよ。ただ、話をしてただけ。」
「ほんとに?」
「うん、ほんと。…それに翔太郎が来てくれたから……トイレに間に合った」
「クスっ、欲張ってあんなに焼き芋食べるから…」
「うっ…」
ぜんぜんロマンチックじゃないオチだけど、あたしは幸せな温もりに包まれていた。