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ファニーキンキー
第12章 それは野外
ニヤリとしながら、ふくれっ面の翔太郎に顔を寄せる…
あたしが口先から葡萄を覗かせると、尖らせたままの唇でちゅるっと吸い取った。
「ほんとに…甘いな」
唇を舌でペロッと舐めて、また口を開ける。
「もっと…」
2個目の葡萄を口に含んだ時、人影が視界に入った。園内を歩く他のお客さんだ。
人の気配は少ない場所だが、通りを歩く人が居てもおかしくない。
口に含んだ葡萄をそのまま噛み砕く。
「クスっ。残念、人が来た」
祥太郎は、本当に残念そうな表情でサンドイッチに手を伸ばす。
「後で伊井と乗って来たら?乗りたかったんでしょ?」
絶叫系コースターの話だ。
「そうだな。折角、遊園地に来たんだし…伊井を誘ってみるよ」
「うんうん」
あたしのせいで、やりたい事を制限させるのは気が咎める、何でも自由にやってもらいたかった。
放任主義ってわけじゃないけど、あたしが束縛されたくないから相手のことも束縛しない…ただ、それだけ。