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ファニーキンキー
第4章 それは弁当
昼休み、スポーツ大会のため購買はお休み。
体育館や中庭は、持参したお弁当を広げる生徒たちの賑やかな姿で溢れ返っている。
通りがかった中庭で、うちのクラスの男子バスケチームが女子に囲まれている姿を見つけた。お弁当の差し入れを受けているようだった。
こんな日はふたりでうろうろも出来ないから元々、恵衣子と椎ちゃんと食べるつもりでおにぎりを2個作ってきたんだ。
伊井たちと食べるだろうから、わざわざ翔太郎に声を掛けなくてもいっか…
椎ちゃんの待つ教室へ恵衣子と戻る。
3人で向かい合わせに机を寄せていると「寧奈」と名前を呼ばれた。翔太郎が教室の出入り口で手招きをしている。
「ん?」
顔を向けるだけで動かない様子のあたしにまた手招きする。
「なに?」
自分の教室なんだから入ってくればいいのに…
諦めて席を立つ。
「寧奈、弁当」
両手を“ちょうだい”と差し出す。
なんか可愛い…大きなプレーリードッグみたい!
仕草の可愛さに顔が緩む。
「お弁当って?」
「俺の弁当」
意地悪じゃなくて…真顔で返す。
「今日は購買、開いてないよ」
「知ってる」
意味がさっぱりわからなかった。首をかしげて見せる。
「今日は彼氏にお弁当作ってくる日だろ?」
あー、そういうこと。