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第8章 それは赤面

再び、唇を啄ばまれる。
でも、もうそれはただの感触に戻ってしまっていた。

翔太郎にも伝わったようで、

「え？もう、終わり…か？でも今、醜態晒してなかったよな？」

眉間に皺を寄せ考え込んでいる。

けれども、あたしは、それどころじゃなかった。

唇が離れて目を開けた時、翔太郎の瞳があった。

柔らかな表情と優しい目、まるで赤ん坊を見つめるような眼差し…無条件の愛が満ち溢れている様な幻を見た。


その瞳に……


堕ちた…



「ふーん。じゃあ、目を見てどうだった？前髪上げといたんだけど…」

その言葉に顔が熱くなって慌てて下を向いた。

「………」

「ん、寧奈？」

やばいっ、これ。顔が赤いよ……ちょっと心臓の音、うるさいってば！