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ファニーキンキー
第8章 それは赤面


ゆっくりと視線を移すと、さっきと同じ優しい目があった。

「俺も好きだよ…寧奈」

目を細めて微笑む翔太郎に………

           …………完敗した。


「ムカつく…」

「ムカつくって…真っ赤な顔で照れながら言う言葉かよ」




美容室は住宅地の一角にあった。

赤と茶色のレンガ壁に重工な木造の扉、扉にはめ込まれたガラス窓から、中の住人の動く姿が伺える。
店の前に立つと異国にいる様な気分にさえなる。

「ディーンさん!ちーっす」

扉を開けた翔太郎が慣れた様子で店に入る。

「おお、来たか。さっさと座れ……あれ?女連れ?」

ディーンと呼ばれた30代前半の男性があたしに気付いて、会釈を交わす。

「俺の彼女の寧奈です。…こっちはディーンさん、俺のボードの師匠だよ。すっごい上手い人なんだ」

翔太郎が間に入り、紹介をしてくれた。

センターで分けられたウェーブのかかったアッシュブラウンの髪型とあご髭がワイルドな大人の男性を醸し出す。

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