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第4章 金融機関訪問

最初の訪問先は、メガバンクのローンセンター。

「住宅を建てる際の借り入れは、ローンプラザやローンセンターで審査を受けることになるから。ここにはよく来ることになるから粗相のないように」

と、エレベーターのなかで注意された未知子。エレベーターの階数表示を見ながら緊張してきた未知子。

といっても、すぐに到着。地下から二階に上がっただけですから。でも、未知子は上がっています。

だって、銀行なんてATMと窓口くらいしか行ったことがない未知子ですから、カーペットが引かれているスペースに通されることなんてないですし。

紗英が親しくしているらしい女性行員が、案内した部屋には高級な応接セットが。

「こちらにお座りになって、お待ちください」

と、女性行員が言って、退室すると、二人は座りました。ローソファーで沈み込む座面。

しばらくすると、未知子より少し年上という感じの知性美あふれる女性が入ってきました。

「いつもお世話になっております」

と、立ち上がって挨拶しながら、意味ありげに微笑む紗英。その横で慌てて立ち上がって一緒に頭を下げる未知子。軽く頭を下げた女性に、未知子は慌てて名刺を差し出しました。

女性も名刺を取り出し、

「ローンセンター長の菅谷志保です。宜しく」

と、挨拶されました。未知子も慌てて、

「武藤未知子といいます。宜しくお願いします」

と、頭を下げると、志保は紗英にさりげなく頷いて、

「どこから転勤されてきたのかしら？」

と、尋ねるので、未知子が何か言おうとするのを紗英が遮って、

「志保さん。武藤は、うちの今年の新人なんですよ」

と、言って笑いました。志保も軽く驚いて、

「新人？中途採用？」

と、聞くので、紗英が、

「新卒採用です」

と、笑いました。