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第2章 初任者研修

「で、初任者研修をするんだけど、若い子じゃないから、礼儀作法やマナーなんかは省くね。で、気になったんだけど、その服装はNGね」

と、ダメ出し。

「というのも、伝えていなかっただけど、ここの展示場ってほかの展示場と違って、『受付』がいないのよ。というか、居たんだけど、先月、辞めちゃった。パートのオバサンだったんだけど。あ、でも、未知子と同じくらいかな。わたしより二歳か三歳年上だったから。。。ま、見た目は未知子と違って完全にオバサンって感じだったけど」

と、笑う紗英。なんと言っていいのかわからない未知子。

「で、未知子には、受付もしてほしいわけ。そのほうがいいと思うわ。ほかの展示場のスタッフから見ても、未知子は新入社員には見えないから、受付のオバサンですって言ったほうが納得するし、仲良くなれるわよ。受付の仕事は、展示場の掃除、来店者の対応。本来は来店者に展示場の間取り図を渡して、アンケート用紙に記入してもらいながら、営業につなぐんだけど、わたしにつないで。わたしが対応するから、未知子は横で見ていて、営業の仕方、接客の方法とか、聞き出し話法とか、学んでもらうわ。実践的なほうが早く身につくからね」

と、一方的に話す紗英。でも、内容的には確かに悪くはない方法。

「新入社員の武藤未知子です」

と、お客様に言ってもたぶん、怪訝な顔をされるのがオチ。

なら、受付で、営業と一緒に参加していますという風のほうがいいかもしれない。そう思った未知子は、

「わかりました」

と、答えました。