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片桐家の女たち
第1章 お父様との秘め事に淫らに濡れて(彩夏の場合)
 この淫らな想いを認めるわけにはいきません。言葉では否定するしかないんです。
 「欲しくありません。お父様はお父様です。隆司さんのお父様だから好きでした。いえ、こんなお父様がいたらって、朱音ちゃんがうらやましくて。
 結婚して、お父様になっていただいたとき、すごく嬉しかったんです。だから、お願いです。やめてください、こんなこと。もう、戻れなくなってしまいます。」
 「親子に戻れなくてもいいじゃないか。その代り、女として・・・。」、そう言いながら、お父様は、私に覆い被さってきました。
 お父様の唇がわき腹から乳房のほうに這い上がってきます。声をあげそうになるのを、口を塞いだまま、左右に顔を振って耐えました。乳首に唇が触れ、咥えられ、舌で転がされます。それだけで、すごく気持ちよくて、声が出そうになって、お父様が見ていないことを良いことに、指を噛んで耐えるしかありませんでした。
 乳房の愛撫に夢中な、お父様の腰が両足の間で、前後に動きます。そのたびに、硬いものが下腹部に触れて、触れた部分が点状に疼き、波紋のように、皮膚の上をどんどん広がっていくんです。恐ろしいくらい、下腹部が敏感になっていて、先端が触れた瞬間、そこからどう滑ったら中に入ってくるか解るんです。
 はしたないけれど焦れてしまって、自分から迎えに行く、そんな腰の動きをしてしまいそうでした。
 お父様が焦らすつもりだったとは思えません。むしろ、私をその気にさせようと、懸命の愛撫だったかもしれません。でも、私は、焦れていました。早く、早く・・・欲しい、欲しい。ドクンドクンと耳元に響く拍動に合わせるように、息苦しいほどの欲望が、そう囁いていたんです。
 それからのことは、あまり、はっきりとは覚えていないんです。焦らされるだけ焦らされて・・・適当な表現かどうかわかりませんが、その時はそう感じたんです。
 私の本音と、お父様の受け止め方はずいぶん違っていたようです。お父様は、私をその気にさせるための愛撫に夢中、私は愛撫されるほどに焦れて、焦れるほどに苦しくなりました。
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